「公団 金町団地」 建替闘争の記録

1992年(平成4年)から始り、1999年(平成11年)に「協定書」により一応の決着をした「公団 金町団地」(現在:都市整備機構 金町第一団地)の建替闘争の一部を住民の立場からまとめたものです。


「建替と向かい合った日々」

小さな団地の大きな闘い

  「協定書」

*1992年より始まった「金町団地 建替闘争」は1999年3月、公団が裁判を取り下げ、紛争は収拾しました。
その成果として「協定書」が金町団地居住者/裁判当事者と公団の間に交わされています。ここに、全文を紹介します。



「協定書」 〜全文〜

 住宅・都市整備公団(以下、「公団」という。)と、別紙居住者目録記載の公団金町団地居住者(以下、「居住者」という。)は、本協定を締結し、公団金町団地(以下、「金町団地」という。)建替事業をめぐる紛争を解決する。

 当事者双方は、本協定を尊重し、遵守する。

第1、一部住棟の建替時期の繰り延べ

 1、公団は、金町団地建替事業により除却すべき住棟の内、その一部について、建替時期を繰り延べる(以下、建替時期を繰り延べ、その間、存置する住棟を「既存棟」という。)。

 2、公団は、既存棟について、平成21年3月31日まで、その建替時期を繰り延べるものとし、その間、既存棟居住者の居住の確保を図る事を確約し、居住者は、本協定に基づく手順による金町団地建替事業に協力する事を確約する。

 3、居住者は、前項の期間が満了するまでの間、既存棟に居住する事ができる。

 4、既存棟は、別紙図面斜線部分の住棟を予定し、(以下、存置を予定する住棟を「存置予定住棟」という。)、第4により、居住者が当該既存棟への入居を選択した段階で、公団が確定させる。

第2、訴訟当事者について

 1、東京地方裁判所平成7年(ワ)第10359号建物明渡請求事件(以下、「先工区訴訟」という。)の訴訟当事者(以下「先工区訴訟当事者」という。)

   (1)、先工区訴訟当事者は、公団との間で、本日、現在居住している先工区の住戸について、移転先として選定した存置予定住棟の住戸の補修が完了し、入居が可能となるまでの間の一時使用賃貸借契約を締結する。

   (2)、先工区訴訟当事者は、前項の存置予定住棟の住戸の補修が完了した後、公団との間で、その住戸について、先工区の建替が完了し、建替後住棟1号棟、2号棟および3号棟(別紙図面参照。以下、「先工区建替後住棟」という。)への戻り入居が可能となるまでの間の一時使用賃貸借契約を締結し、存置予定住棟の住戸に移転して、現在居住する先工区の住戸を明渡す。

   (3)、公団は、先工区訴訟当事者に対し、前記(2)の明渡しに際し、別紙記載の措置を行う。

 2、東京地方裁判所平成7年(ワ)第19075号建物明渡請求事件(以下、「後工区訴訟」という。)の訴訟当事者(以下「後工区訴訟当事者」という。)

    後工区訴訟当事者は、公団との間で、本日、現在居住している住戸について、先工区の建替えが完了し、先工区建替後住棟への入居が可能となるまでの間の一時使用賃貸借契約を締結する。

 3、公団は、本協定を締結し、全ての訴訟当事者(全ての先工区訴訟当事者および後工区訴訟当事者をいう。)と一時使用賃貸借契約を締結した後、直ちに先工区訴訟および後工区訴訟を取り下げ、各訴訟当事者は、取り下げに同意する。

 4、公団及び訴訟当事者は、本協定を締結し、全ての訴訟当事者と一時使用賃貸借契約を締結した後は、全ての訴訟当事者が、現在一時使用賃貸借契約を締結している居住者(以下、「一時使用賃貸借契約締結者」という。)と平等の地位を有することを確認する。

第3、一時使用賃貸借契約締結者について

 1、公団と一時使用賃貸借契約締結者は、現在締結している一時使用賃貸借契約の期間を、先工区の建替えが完了し、先工区建替住棟への入居が可能になるまで延長することとする。

 2、公団は、本協定締結後、速やかに、一時使用賃貸借契約締結者に対して前項の趣旨を通知する。

 3、一時使用賃貸借契約締結者は、現在締結している一時使用賃貸借契約について、通常の賃貸契約への転換を主張しないことを確約する。

第4、先工区建替後住棟への戻り入居等の選択と移転

 1、先工区の建替えが完了し、先工区建替後住棟への戻り入居が可能になった際、居住者は、先工区建替後住棟への戻り入居、既存棟への入居を選択する。

 2、居住者は、前項の選択を公団が定める住戸選定日までに行う。

 3、公団は、前2項により既存棟への入居希望者数が確定したときは、存置予定棟の中から既存棟を定める。

 4、第1項により入居棟を選択した居住者は、その選択の態様に応じ、次の各号による手続きを行うものとし、その際、公団が講じる措置内容は別紙による。

   (1)、先工区建替後住棟への戻り入居を選択した場合

      当該居住者は、先工区建替後住棟への戻り入居が可能となる時点で、その選択した住戸について、公団との間で、公団所定の賃貸借契約を締結し、居住者は、その選択した住戸に移転し、それまで居住していた住戸を明け渡す。

  (2)、既存棟への入居を選択した場合

     イ、当該居住者は、その選択した住戸について、公団との間で、金町団地建替事業の遂行を目的とした次の内容による一時使用賃貸借契約を締結する。

       この場合、現居住住宅から既存棟への移転が必要となる居住者は、その選択した住戸の補修完了後、移転し、それまで居住していた住戸を明け渡す。

      (イ)、公団の金町団地建替事業の遂行により除却すべき住棟の内その一部について建替時期を平成21年3月31日まで繰り延べるものであること。

      (ロ)、既存棟の住戸は、当該繰延期間の終了日を期限として一時的に賃貸借するものであること。

     ロ、当該居住者は、前記イの一時使用賃貸借契約の期限満了時に、既存棟の住戸を明け渡す。

   ハ、前記イの趣旨に鑑み、当該一時使用賃貸借契約は、公団の計画する既存棟にかかる建替計画の遂行が確定的に不能な事態に至った場合には、その一時使用賃貸借契約としての目的を喪失し、通常の賃貸借契約となることを確認する。

第5、既存棟居住者に対する措置

  公団は、第4により一時使用賃貸借契約を締結した既存棟居住者に対し、一時使用賃貸借契約が終了するまでの間、別紙の内容による措置を講じるものとする。

第6、居住者に適用されるその他の措置


  本協定に定めのない措置内容は、公団が金町団地建替事業に関して既に居住者に対して提示した公団所定の制度が適用されるものとする。

第7、信義誠実

  公団および居住者は、金町団地建替事業に関し、双方、信義に基づき誠実に話し合うこととする。

 本協定成立の証として、本書を2通作成し、記名押印の上、各自1通を保有する。

平成11年3月31日

  東京都新宿区西新宿六丁目5番1号

  住宅・都市整備公団東京支社

   改善業務部長 吉澤 俊弘 (印)

 東京都葛飾区東金町二丁目

   金町団地居住者

    別紙居住者目録記載のとおり

  居住者代表

   公団金町団地自治会

   会長 小林良一 (印)

  金町団地自治会建替対策委員会

   委員長 斉藤金正 (印)

  金町団地居住権を守る会

   代表 香川利民  (印)

  金町団地居住者代理人

   東京都足立区千住1丁目24番4号

   弁護士 田中隆  (印)

   東京都台東区東上野3丁目21番7号福井ビル3階

   弁護士 金竜介  (印)

   東京都墨田区江東橋3丁目13番1号KS15ビル7階

   弁護士 坂本隆浩 (印)

 (立会人)

   東京都千代田区富士見1−7−9

東京23区公団住宅自治会協議会

    会長 高橋敬忠 (印)


(別紙)

1 先工区建替後住棟への移転に関する事項


  金町団地建替事業に関して既に居住者に対して提示した公団所定の制度を適用する。

2 既存棟への移転及び居住に関する事項

 (1)既存棟(存置予定住棟)への移転に際し、以下のとおり移転料を支払う。

    イ、先工区から移転する場合  40万2000円

    ロ、後工区から移転する場合  40万2000円

    ハ、団地外から移転する場合  44万5000円

 (2)既存棟への移転に際し、住戸選定時に居住する住戸(以下、「従前住戸」という。)の補修費用は免除する。

 (3)既存棟中の住戸の補修は、住戸の選定を受けて、以下のとおり行うと共に、必要な居住環境の維持に努める。

    イ、移転を伴わない既存棟中住戸は、必要に応じて、公団負担部分の補修(風呂床含む)を行う。

    ロ、移転を伴う既存棟中住戸は、公団所定の普通空家補修(風呂床含む)を行う。

 (4)既存棟中住戸の家賃は、従前住戸の家賃と選定先住戸の家賃のいずれか低額の方とし、期間満了まで家賃改定は行わない。

 (5)既存棟中住戸の敷金は、従前住戸の敷金額と同額とする。

 (6)世帯分離は、住戸選定時に公団所定の要件を満たす者について、既存棟内、先工区建替後住棟、他の公団住宅、のいずれかを選択した上、適用する。但し、分離世帯に対し移転料は支払わない。

     なお、世帯分離の家賃については、移転先住宅に設定されている家賃とし、家賃の激変緩和措置等は適用しない。

3 既存棟からの移転に関する措置

 (1)一時使用賃貸借契約期間満了に伴う戻り入居を、以下の内容で行う。

    イ、団地内の建替後住宅を、戻り入居住宅として確保する。

    ロ、移転料63万1000円を支払う。

    ハ、家賃は、入居時点の公募家賃とし、家賃の激変緩和措置(平成4年度時点の措置)を適用する。

    ニ、敷金は、既存棟中住戸と同額とする。

 (2)先工区建替後住棟及び立替後住棟4号棟、5号棟へのあっせんを以下の内容で行う。(前記(1)の戻り入居に該当する場合を除く。)

    イ、移転料63万1000円を支払う。

    ロ、家賃は、移転先住宅に設定されている家賃とし、家賃の激変緩和措置は適用しない。

    ハ、敷金は、既存棟中住戸と同額とする。

 (3)他の公団住宅へのあっせんを以下の内容で行う。

    イ、移転料78万9000円を支払う。

    ロ、家賃は、移転先住宅に設定されている家賃とし、家賃補填は行わない。

    ハ、敷金は、既存棟中住戸と同額とする。

 (4)東京都営住宅の紹介を行い(但し、東京都において公団の建替事業対象団地居住者に対する優先入居の制度がある場合に限る。)、移転に際して、移転料78万9000円を支払う。なお、家賃補填等相当額は支払わない。

 (5)上記以外により既存棟から移転する場合、移転料78万9000円を支払う。なお、家賃補填等相当額は支払わない。

 (6)既存棟からの移転に際し、当該住戸の補修費用は免除する。





以上


*総合ページへ*映画・演劇評論へ*日記へ*楽しいゴルフへ*投稿者のページへ*写真集へ*目指せ!マンション管理士・管理業務主任者へ*「超解説 区分所有法」へ、 、*ヨーロッパ旅行記へ*ヨーロッパ 写真集へ*ヴェトナム、アンコール・ワット旅行記へ*スリランカとインド旅行記へ*ロシア旅行記へ、  *「讃岐 広島へ帰る」へ 、*金町団地の建替闘争の記録へ ★「マンション管理士 香川事務所」へ