「公団 金町団地」 建替闘争の記録
1992年(平成4年)から始り、1999年(平成11年)に「協定書」により一応の決着をした「公団 金町団地」(現在:都市整備機構 金町第一団地)の建替闘争の一部を住民の立場からまとめたものです。
「建替と向かい合った日々」
小さな団地の大きな闘い

金町団地 「建物明け渡し」裁判の記録
争点;公団による、「建て替え事業」が、借家法に定める「正当事由」を有しているか、否か
*口頭弁論 第1回、第2回

*1回口頭弁論 1995年(平成7年) 9月 1日(金) 13:10〜13:40
東京地方裁判所 506号法廷 裁判長;一宮なほみ(女性) |
*公団側: 何もなし。
*住民側:
§1.求釈明書...坂本弁護士
1.「国の施策」が、私法の借家法の正当事由になるか。
2.「一律建て替え」以外の方法がないのか。
3. 2年間の話し合い期間と代替給付の関係。
§2.答弁書...金弁護士
建て替え事業は正当事由を、有していない。請求を否認し争う。
§3.準備書面(一)...田中弁護士
1. 金町団地と「建て替え事業」の実態。
2. このような「建て替え」は求められていない。
3. 居住者は「同意」していない。
4. 国民はこのような「公団住宅」を求めていない。
5. 「建て替え事業」は団地居住者になにをもたらすか。
6. 「建て替え」を強行する法的根拠はどこにもない。
7. 団地居住者には守られる権利が有る。
8.「建て替え」開始から10年...今問われているもの。
提出証書
乙(住民側)
1号. 葛飾区、金町団地の地域状況説明用地図。
2号. 金町団地の周辺状況説明地図。
3号. 金町団地と周辺状況説明写真。
4号. 金町団地自治会 アンケート(平成5年3月)。
5号. 請願書(生活環境を守る会)公団総裁あて。
6号. 要望書(近隣町会)公団支社長あて。
7号. 金町団地自治会決議。「建て替え」に対する運動の継続。
8号. 「こぶし」(支援する会)。
9号. 金町団地自治会 アンケート(平成6年11月実施)。
10号. 一時使用賃貸借契約締結者が「合意」していない表明。
11号. 新聞記事による「建て替え」批判。(1〜7)
◎ 1995年(平成7年) 〜裁判は併合へ〜
10月10日 *検証の申立
10月12日 *公団より後工区の10世帯にも対して、訴状くる。
訴状の構成...先工区の5世帯とほぼ同じ。
「第七..本請求を行う必要性」が無くなっている。
ここは、緊急性を述べたもの。断行の仮処分が、後工区では必要ないから省いたようだ?
10月18日、19日 *裁判併合(先工区へ)の上申書提出。
先工区と後工区の裁判は併合へ。(但し、第三回口頭弁論から)
*第2回口頭弁論 1995年(平成7年)11月10日(金) 13:30〜14:00
東京地方裁判所 506号法廷 裁判長;一宮なほみ(女性) |
*公団側:§準備書面
(1)正当事由の存在について
各事実の総合で正当事由がある。
1.国策
2.30年代の団地の居住水準の向上と土地の適正利用
3.全国規模で実施、99.8%が合意
4.居住者に十分配慮、代替給付も講じている
5.金町団地でも
イ.必要性は高い。
ロ.十分に配慮した。
ハ.92.9%(196名)が同意した。
ニ.2年過ぎても、代替給付を講じた。
6. 判例
(2)建て替え事業の必要性
国策、居住水準の向上、土地の適正利用。
判例。
(3)建て替え事業の進め方
2年間、代替給付。
判例。
(4)代替給付の位置付け
代替給付は、事業自体の正当事由としての不備を補う補完事由ではない。
判例。
国策に基づいているので、集団的・画一的処理が要請される。
提出証書
甲 1号.住宅建設計画法...5箇年計画を定め、達成に必要な措置を講ずるように努めること。
2号.建設省作成「第5期住宅建設5箇年計画」(昭和61年9月)
*反論:メインは、広さで、どこにも家賃を「住み続けられない」金額に上げて良いとは、書いていない。
3号.第6期住宅建設5箇年計画(平成3年3月、閣議決定案)
*反論: これも、広さ(性能・設備)と戸数がメインで、家賃は「適正」に設定しろ、と審議会の答申があるだけ。
4号.建設白書(平成3年版)
5号.建設白書(平成5年版) 4号と共に建設目標戸数と、公団の建て替え事業の説明。
6号.「金町団地建て替え事業概要」(平成4年9月)
*反論:原田小学校での一方的通知会の資料。
7号. 型式別概算家賃等...1DK〜3LDKの家賃と減額表。
8号. 金町団地の現況図と建て替え後の配置図。
9号. 「SMILE」公団の建て替え事業パンフレット。
10号. 建て替えによる、「新しい住宅の居住性能と設備機器」パンフレット
11号. 住宅希望調査票...戻り入居や、型式の調査票。
*住民側:
§1.準備書面(二) 正当事由として...金弁護士
1. 住宅の社会的陳腐化
2. 居住水準の向上、土地の高度利用
を理由にするのは、判例・学説でも認められない。
特に、立ち退き料が申し出てないケースはない。
§2.準備書面(三)...田中弁護士
建て替え事業を理由とする明け渡し請求は認められない。
1. 住宅建設計画法による、閣議決定の「五箇年計画」で、金町団地における更新拒絶による無条件立ち退きの正当性はない。単なる、住宅プランである。
国民に義務や責任の負担をさせるものではない。
2.「昭和30年代に管理を開始した住宅」というだけの理由で、全国一律に、2年間の猶予期間(公団は「話し合い期間」と言っているが)で、暴力的に追い出しを図るものである。
3. 正当事由は、金町団地独自に必要とされるべき。公団の訴状には、金町固有の正当事由が述べられていない。
4. 私法の「借地借家法」に、何故「閣議決定」が正当事由となるのか。
5. 建て替え事業の背景には、バブル経済がある。特に高い家賃はバブルの影響。
バブル経済崩壊後の今日「建設白書」(平成6年版)でも、環境調和への見直しがいわれている。
6. 金町団地の家賃設定は、民間より高すぎる。
7. 金町に高層住宅はいらない。
8. 国民が公共住宅から追い出される。
9.公団であることにより、民間と異なる特権を持つものではない。
提出証書
乙 12号.第六期住宅建設五箇年計画...建設省の目標。
13号.建設白書(平成6年版)...バブル崩壊後の対応。
14号.建設白書(平成7年版)...阪神大地震の対応。
15号.生活福祉空間づくり大綱(平成6年)...建設省のプラン。
16号.東京都住宅白書(平成6年版)...東京都の住宅状況、家賃。
17号.東京都住宅マスタープラン(平成3年)...金町の地域計画。
18号.東京23区建て替え状況...23区公団自治協の家賃表。
19号.首都圏家賃相場...賃貸スペシャル誌の家賃相場。
20号.葛飾区議会に対する、各町会の請願。
21号.東京都に対する紛争調停の申し入れ...近隣住民。
22号.不同意表明の追加...24名。
23号.公団居住者建て替え決起集会のパンフレット。
24号.念書...建て替え協力の念書。
25号.葛飾区区議会だより No.137...請願採択。
26号.こぶし No.8...日本テレビでの放送。