「公団 金町団地」 建替闘争の記録

1992年(平成4年)から始り、1999年(平成11年)に「協定書」により一応の決着をした「公団 金町団地」(現在:都市整備機構 金町第一団地)の建替闘争の一部を住民の立場からまとめたものです。


「建替と向かい合った日々」

小さな団地の大きな闘い

 金町団地 「建物明け渡し」裁判の記録

争点;公団による、「建て替え事業」が、借家法に定める「正当事由」を有しているか、否か

 *口頭弁論 第3回、第4回、第5回、

*第3回口頭弁論 1996年(平成8年) 1月19日(金) 13:30〜14:15 

東京地方裁判所  506号法廷   裁判長;一宮なほみ(女性)

今回より、後工区の10世帯と併合となる。計15世帯。


*公団側:

§準備書面(二)

  住民側の準備書面(二)(三)に対する反論。

  (一)準備書面(二)に対して。

     1. 引用の裁判例は、不適当。公営住宅の裁判例を参照すべき。

     2. ジュリスト927号の援用が正確でない。

  (二)準備書面(三)に対して。

     1. 住宅建設計画法に基づく、閣議決定が正当事由でないと主張するが、閣議決定は、一つの事実で、公団は、他の事実と総合して正当事由があると主張している。


  §証拠説明書

  甲  12号.平野裕之「賃貸建物の建て替えと借家法」...ジュリスト927号。

         脚注(8)で、公共団体の場合を説明。

     13号.For  better life...国立団地の建替パンフレット。

     14号.都市生活にチャレンジ...建て替え事業パンフレット。


*住民側:

  §1.後工区答弁書...坂本弁護士

      建て替え事業に借家法の正当事由がない。原告の主張を否認し争う。

  §2.準備書面(四)...坂本弁護士

      代替給付がいかに不十分かを説明。

      1.画一性...個々の事情を考慮していない。

      2. 内容の不十分性

        ア. 戻り入居について......もっと具体的に提供しろ。

        イ. 高い家賃..........¥183、000に7年間で値上げとなる。

        ウ. 高齢者の追い出し......リロケーションも適用少ない。

        エ. すべては、高い家賃......再検討しろ。

      3. 他の公団賃貸住宅への優先入居...住み慣れた土地を離れるつらさ。

      4. 他の公団分譲住宅への優先入居...高くて空きがある。誰でも買える。

      5. 民間住宅への入居.........わずかな、金銭がでるだけ。

      6. 公団からの支払われる金員

        ア. 移転費用相当額...引っ越し費用で当り前。

        イ. 家賃の一部補填...\100万は、立ち退き料でない。

      7. 二戸斡旋.......現実的でない。

      8. 住宅補修費の免除...取り壊しを前提として、何が給付か。

      9. 公団はこの内容のない、まがいものを「代替給付」と読んで、住民を脅した。


  §3.準備書面(五)...寺町弁護士

     検証(現場)についての補充。民事訴訟法 第335条、316条、317条。

     1. 団地全体の陳腐化、高度利用の必要性を争うために、金町団地に、裁判官が行くように申立。(検証)。

     2. 公団は係争中に団地取り壊しをすることが多い。

     3. 公団が解体をすると、検証の目的が達成できなくなり、「証明妨害」となる。

     4.その場合、裁判所は「陳腐化」や「高度利用」について、公団の不利になるよ

      う認定する。


提出証書

  乙  27号の1.読売新聞  ’95年 9月18日記事 「公団賃貸転出ラッシュ」

        の2.毎日新聞  ’95年10月21日記事 「草加の建て替え」

       の3.日本経済新聞  ’95年11月1日記事 「民間に賃貸の仲介委託」

        の4.読売新聞  ’95年11月2日記事 「草加・移転期限日過ぎて」

        の5.毎日新聞  ’95年11月20日記事 「戻り入居者が悲鳴」

        の6.毎日新聞  ’95年11月21日記事 「家賃を1割引き下げ」



 *第4回口頭弁論 1996年(平成8年)3月22日(金)13:30〜14:10

東京地方裁判所  506号法廷   裁判長;一宮なほみ(女性)

*公団側:(準備書面はなし)

   甲  15号(1〜3).金町団地周辺の航空写真。


*住民側:

   §1.準備書面(六)...金弁護士

     金町団地の建物の現況を、写真で説明。「陳腐化していない」。

     増築・改築による改善がなされ、昭和30年代に建築された団地の一般論にあては

     まらない。

     居住スペースも、52平米〜55平米と十分に広い。クーラーの貫通孔もある。

     公団は、建物の状況に触れずに、取り壊しを主張している。空論である。


   提出証書

   乙  28号.写真撮影報告書...5−6,14−6,16−6,17−4.

                    (先工区)

      29号.写真撮影報告書...18−1,18−2,19−7,25−1,

                    27−2,27−4,30−6。(後工区)

     30号.写真撮影報告書...26−5。(リホーム後の現況)




*第5回口頭弁論 1996年(平成8年) 6月7日(金) 15:00〜15:50

東京地方裁判所  506号法廷   裁判長;一宮なほみ(女性) 

*公団側:

  §1.準備書面(三)...建て替え前と後を比較

     1. 戸数      226  −>  492

     2. 住宅型式    3D   −>  1DK〜3LDK

     3. 構造      壁を厚くする。

     4. 電力      30アンペア  −>  40アンペア

     5. 高齢者向対応住宅の建設

     6. 駐車場     なし  −>  約330台

     7. 自転車置場   なし  −>  約738台

     など。


  §2.準備書面(四)...正当事由存在の補足。

    1. 優先戻り入居など、きめ細かな代替給付を講じている。

    2. 今までの、建て替え事業では、戻り入居も57.6%とうまくいっている。

    3. 金町団地でも、個別の相談に応じている。(都営住宅の斡旋例)。

    4. 2年間の話し合い期間は、熟慮の期間。

    5. 代替給付の位置付け...正当事由の補完事由でも「立ち退き料」でもない。

     ア. 国の住宅政策として「居住水準の向上及び土地の適正利用」を図ることにより

建て替え事業による利益」が団地居住者にも及ぼされる。

     イ. 優先入居など、住民に配慮してある。

     ウ. 個々の居住者の恣意的な意向に応じられない。

    エ. 93%の居住者が、同意した。

     オ. 被告達は、同意した多数の居住者に多大の不利益を及ぼしている。

        好立地における良質な住宅の供給を切望する国民の利益を損なっている。

     カ. 被告らは、話し合いに応じない。

    代替給付措置は、建て替え事業を円滑に遂行するための方法に属するもので、

    不備を補う補完事由ではない。特段の補完措置は必要がない。


  提出証書:

  甲 16号の1〜9...平成8年3月撮影の金町団地と近辺の航空写真。

    17号の1〜4...平成2年2月撮影の金町団地の航空写真。(都営住宅が5階

              に建て替え中。

    18号の1〜2...現況平面図。緑が増す。環境もよくなる。

    19号の1〜2...完成予想図。

    20号.......建て替え前(7号棟1号室)の写真。こんなにひどい。

    21号.......光ケ丘団地(8号棟1105号室)の写真。こんなに良くなる。

    22号.......東伏見団地の一階の写真。高齢者向け。こんなに配慮している

    23号.......久米川団地と光ケ丘団地の解体写真。構造を説明。

    24号.......分室だより。移転先の情報。

    25号.......分室だより。都営住宅の斡旋。


   *準備書面等補正書..準備書面(三)と証拠説明の補正。

   *証拠認否書.....乙第28号〜30号の認否。


*住民側:

  §.準備書面(七)土地の適正利用(高度利用)に対する反論...田中弁護士。

    1. 金町団地周辺の状況。

    2. 公団だけが高層住宅を建てている。

    3. 駐車場が多い。

    4. 都市計画でも高層化を考えているのは、公団だけ。都営住宅も5階まで。

    5. 葛飾区の住宅基本計画とも、反している。

    6. 近隣住民や地域社会に破壊的な影響を及ぼす。


  提出証書:

  乙  31号...6階以上の建物地図。(色塗り)

     32号...環境地図。(駐車場の色塗り)

     33号...医療関係(病院など)、文教施設(学校)の地図。(色塗り)

     34号...建て替え後の日照被害図。(色塗り)

     35号...近隣住民の反対状況図。(反対世帯の色塗り)

     36号...団地と周辺の写真。(優れた環境)

     37号...児童の通学風景。

     38号...団地の遠景。(高層建物群ができると)

     39号...葛飾区住宅基本計画。






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