「公団 金町団地」 建替闘争の記録

1992年(平成4年)から始り、1999年(平成11年)に「協定書」により一応の決着をした「公団 金町団地」(現在:都市整備機構 金町第一団地)の建替闘争の一部を住民の立場からまとめたものです。


「建替と向かい合った日々」

小さな団地の大きな闘い

 金町団地 「建物明け渡し」裁判の記録

争点;公団による、「建て替え事業」が、借家法に定める「正当事由」を有しているか、否か

 ◎口頭弁論 第12回〜第15回(最後) 

 * 裁判の取り下げへ。 
 *協定書の概要

 *終わりに

 *第12回口頭弁論 1998年(平成10年)6月5日(金)13:20〜13:50

東京地方裁判所  709号法廷  

一宮なほみ  裁判長、(氏名不明;男)、安田大二郎裁判官


*公団側:準備書面  なし。


*住民側:

§.準備書面(14)...田中弁護士

  1. 住都公団廃止の閣議決定が意味するもの

    1997年6月6日、政府は住宅・都市整備公団の廃止を閣議決定した。

    「明け渡し訴訟」の正当事由の冒頭に「閣議決定による住宅政策の推進・実現」を

    公団は唱えた。しかし、公団はその閣議で存在を否定された。公団は訴訟の取り下

    げを検討すべき。正当事由は崩壊した。

  2.「正当事由存在時期」は反論にならない

    公団は契約終了の効果が生じた後の「爾後の事情」は更新拒絶の効果に影響を及ば

    さないと言うが、政策と矛盾する。

    昭和28年4月9日付の最高裁の判例も、そのご「特段の事情」があれば「事後の

    事実」を取捨選択している。

  3. 公団の「正当事由」は崩壊している

    老朽化もなく、高層化計画も存在せず、国民の住宅需要にも一致してない、公団の

    一律建て替えにはもともと「正当事由」は存在していない。


  「一律建て替え」は公団自身によっても否定されている。金町団地にも「部分建て

   替え」をおこない、紛争を解決すべき。


*第13回口頭弁論 1998年(平成10年)9月18日(金)13:20〜13:45

東京地方裁判所  709号法廷  

一宮なほみ  裁判長、(氏名不明;男)、安田大二郎裁判官 


  *公団側:準備書面  なし。


  *住民側:準備書面  なし。



*第14回口頭弁論 1998年(平成10年)12月11日(金)13:20〜13:50

東京地方裁判所  709号法廷  

一宮なほみ  裁判長、(氏名不明;男)、安田大二郎裁判官


*公団側:

第33号証  「三枝(さえぐさ) 所長の陳述書」

      被告との折衝経緯。

     1.全般...原田小学校での説明会。住宅希望調査。分室便り。

           工区決定。仮移転。

     2.被告との個別折衝。(14名)

           上田、藤田、佐藤呈司、香川、米道、山下、村松、吉田、吉村、

           佐藤淳一、吉沢、香山、高尾、野口。

         [内容]

           何月何日、訪問とか電話での話だけ。


*住民側:なし。


*第15回口頭弁論 1999年(平成11年) 3月12日(金)13:20〜13:40

東京地方裁判所  709号法廷  

一宮なほみ  裁判長、(氏名不明;男)、安田大二郎裁判官


*公団側: なし。

*住民側;

   ◎田中弁護士  答弁

     *裁判は取り下げになる予定。

      ・10年間の建て替え延長

      ・一時使用賃貸借契約に目的;建て替えによる;を入れる

      ・協定書を作成する

      ・10年後の戻り入居の保障

      ・1999年3月31日  調印の予定

   ◎被告代表 香川  陳述

     *今後の建て替え計画は、居住者の生活を考えてやるように。


  ※裁判長...今後の期日は決めないので、3月31日4時に裁判所に来て。


 ◎裁判は取り下げに

1999年(平成11年)3月31日 午後4時。東京地方裁判所。

    ◎出席者;

      *一宮裁判長

      *田中、坂本、金弁護士(住民側弁護士)

      *香川ほか被告達

      *団地関係者

     *公団側の弁護士

  3月31日、午前9時30分。公団東京支社にて、団地居住者と公団との間で

建て替えに関する「協定書」が締結される。

 [協定書の概要]

 1. 一部棟を10年間残す。(2009年;平成21年  3月31日まで)

 2. 先工区が完成(約2年後)したら、その時点で戻るか、残す棟に後8年

間住むか決める。

3. 残す棟の家賃は、今住んでいる所か移った所の家賃かどちらか安いほうを

適用する。

 4.10年間家賃は据え置く。

 5. 移転費用を出す。

 6.10年後の金町団地への戻り入居と家賃の低減制度の適用を保障する。

 7. 公団と居住者は「一時使用賃貸借契約」を結び、途中で公団が民間に

移管されるような事があれば、この契約は通常の借家の「賃貸借契約」

になる。

 8. 今後、建て替えは“話し合い”で進める。


  「協定書」の締結により、被告;13名と公団との間で「一時使用新貸借契約」が

交換された。


  これにより、1995年(平成7年)5月31日付けで公団から出された「建物

明け渡しの訴訟」は完全に取り下げとなった。


  なお、この間の家賃は被告が供託してあった物から公団が受け取る。


  当然の事ながら、(家賃+共益費)x1.5倍の請求はない。



{終わりに}


  金町団地の裁判は「和解」でもなく「取り下げ」という形で終わりになったが、

これは公団の提訴が間違っていた事となる。

  もし、最後まで行って結審となっていても、住民が勝ったと思われる訴訟で

あった。

参考までに、審理担当の一宮裁判長は「公共目的だけでは、正当事由には

不十分」と言っている(1999年4月1日付 朝日新聞)


 1995年から、1999年3月までの4年間に渡る「公団 金町団地」と「公団:都市整備公団」との裁判と和解の記録である。


以上。






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