「公団 金町団地」 建替闘争の記録

1992年(平成4年)から始り、1999年(平成11年)に「協定書」により一応の決着をした「公団 金町団地」(現在:都市整備機構 金町第一団地)の建替闘争の一部を住民の立場からまとめたものです。


「建替と向かい合った日々」

小さな団地の大きな闘い


  金町団地 居住者の意見

     1.建替指定時 (1992年)の意見

     2.建替事業説明会後(1993年)の意見

     3.住居移転期限 前(1994年9月30日)の意見

     4.住居移転期限 後(1994年9月30日)の意見



1.建替指定時(1992年)の意見


★居住者は建替を望んでいない。

   金町団地では、公団が建替を行うとの情報を得て、早期に建替対策委員会を立ち上げており、その建替対策委員会は、1992年7月31日までに今回の建替に対する住民の意見アンケートを集約しました。

  回答のあった、165世帯では、半数以上の95世帯が建替を望んでいませんでした。

 建替を望むか(1992年)  
   世帯数  %
 建替を望まない  95  58
 条件により建替希望  54 33
 建て替え希望  7  4
不明   9  5
 合計  165  100



 条件付建替希望者の33%のうち80%が、家賃の条件を現在と同程度と回答していました。

◎ 家族構成と年間収入  

 建替指定時(1992年)の家族構成と世帯全体の年間収入額(税込み、ボーナス込み)は以下のようになっていました。

家族構成  世帯数   %
 1人  23  13.9
 2人  35  21.2
 3人  44  26.6
 4人  43  26.0
5人  15  9.0
 6人 以上  5  3.0
 合計  165  



 年間収入額では、168世帯の回答がありました。

 年間収入額(円)  世帯数 % 
 〜249万  18 10.7 
 250〜349万  33 19.6 
 350〜399万  9  5.3 
 400〜499万  24 14.2 
 500〜599万  20 11.9
 600〜699万  17 10.1
 700〜799万  19 11.3 
 800万以上  28 16.6 
 計  168  





◎建替指定時の居住者の意見。  

 居住者の意見としては、公団の「建替計画」に対する抗議や批判的なものが圧倒的に多くなっています。

【出て行けといわれているのと同じです】

※土地神話が崩れバブル崩壊後で、公共性を持つ公団が先ず着手すべきは大多数の国民にとって一番必要な住宅を、むしろ家賃を値下げして大量に供給することこそ公団に課せられた使命だと思う。そうすれば今直面している建て替えは住民の支持が得られると思う。公団職員の方の中に建て替えに直面している人達は居ないのだろうか。又、公団の従来通りの姿勢に対して内部からは何の疑問も生まれないのだろうか。

※障害児がいるのでできればここに住んでいたいのですが、家賃が高くなったらとても住めません。といっても都営にも入れず困ります。「完全に戻れます」という全面的な、保護のもとで建て替えは行うべきです。

※この場所に住み続けたいのに、3倍の家賃になったら、戻れない。「出て行け」と言われているのと同じです。私たちの失うものは大です。

※高層化はもう古いし危険が多いのでやめてほしい!今こそこのテラスハウス型を新築すべきです。

※ 建て替えしなくて、このまま住めるのでしたらよろしいのですが、さけられないのでしたら早い方が良いと思います。私は女一人ですので都営住宅にでも斡旋していただきたいと思っております。

※現在定年後でも何とか仕事にありついて収入があるけれど、建て替えが完成する頃迄働けるか年齢的に無理と考えられる。家賃を払ったら生活出来なくなるから戻りたくても駄目かも知れない。

【子供の頃は戦争中の不安、今度は建替の不安】

※私共老夫婦60才代半ば。子供を育て親も友人を沢山作り楽しい老後をと思い日々を過ごして来たにも拘わらず、建替になれば家賃も払えない。そして金町に戻れない老後、友人も遠のき淋しい日々を送る様になる事明確。老人になって友人を作る事は大変な事。共通点があって初めて友人が出来る事ご存知かしら。とにかく若くないのでこの町から離れたくない事情があって、年金も少なく当てに出来ず生活が不安です。子供の頃は戦争中これ又不安の時代、食料の不安やっとの処で、この建替問題で不安、とにかく頑張ってよりよい回答を得たい。

※住宅事情を考慮した上で建替は致し方ないとは思いますが、ただ住めれば良いというのではなく人間として快適な過ごし方の出来る住宅を。高層は反対です。5階がせいぜいと思います。家賃の問題は一番心配の種、私共親と子の故郷です。払える家賃を望みます。この地に住みたいからです。

※貸してやる、住まわせてやる意図が見え見えの役所感覚に対しては居住権の確保を認めさせる行動を興すべきです。

※年金生活者故高家賃にすめないので困ります。近所の都営住宅に移りたいと思いますが、35年住みなれた処をはなれたくない気持で一ぱいです。老い先みぢかい身であれば特に感じます。

【高家賃で生活できなければ反対するのはあたりまえ】


※私共は金町に住居を構えて34年になりこの土地には愛着があります。公団はたしかに勝手過ぎます。建て替えて新しくなるのは気持がいいのですが、家賃が高額であればとても生活は出来ません。誰でもそうです。反対するのはあたりまえです。高層化は絶対に反対です。私共は「条件によって建て替えを希望する」に○をつけましたが、基本的に建て替えは反対です。自分勝手かもしれませんが年齢的に引越しがとても考えただけでもつらいです。いくら子供達がしてくれても疲れます。

【公団は勝手すぎる。もっと住民の声を聞き入れよ】

※公団は勝手すぎます。建て替えるのなら、なぜ計画をたてる段階から住民と話をしないのでしょうか。「決まった」と言ってくるからお互いにぶつかってしまうのでしょう。

【高層化はやめて!】

※「賃貸料」が年金生活者でも入居可能な額にして下さい。老夫婦二人に適した間取りの部屋も考慮して下さい。「大地震が間近に迫る」との予測がありますのでその件も考慮した計画をたてて下さい。例えば戸数を増やすためだけの高層化などは避けて下さい。




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