「公団 金町団地」 建替闘争の記録

1992年(平成4年)から始り、1999年(平成11年)に「協定書」により一応の決着をした「公団 金町団地」(現在:都市整備機構 金町第一団地)の建替闘争の一部を住民の立場からまとめたものです。


「建替と向かい合った日々」

小さな団地の大きな闘い


  金町団地 居住者の意見

     1.建替指定時 (1992年)の意見

     2.建替事業説明会後(1993年)の意見

     3.住居移転期限 前(1994年9月30日)の意見

     4.住居移転期限 後(1994年9月30日)の意見


4.居住移転期限(1994年9月30日)後の居住者の意見

  1994年11月(移転期限:9月30日:)に実地した住民アンケートにみる「建替」は次の様になっていました。

*居住者  世帯数  118世帯

*アンケート回収数   83世帯 (回収率 70.3%)

  1.公団の態度について
 誠意がない  36世帯
 威圧感を感じた  27世帯
 恐怖の念にかられた  5世帯
 誠意あり 3世帯
 無回答  3世帯
 合計  83世帯



1992年の説明会から、公団が問答無用で居住者に「建替」を迫った実態が分かります。

 2.どこに居住しますか
 戻り入居 15世帯
 戻るが、最後は移転 24世帯
 他の公団に本移転 5世帯
 都営住宅に本移転 5世帯
民間賃貸に本移転  0世帯
 自宅購入 3世帯
 特別優遇措置を受ける 11世帯
未決定  2世帯
 計  65世帯



戻っても高い家賃のため「住み続けられない」のが問題です。

 3.戻り入居の条件
 満足 1世帯 
 家賃が高い 71世帯 
 傾斜の期間が短い 52世帯 
 高齢者の適用を全形式に 35世帯 
 移転料が安い 39世帯 
 間取りが悪い 44世帯 
 計 242世帯 




また、意見としては、強権をもって迫る公団に対して、悩む居住者の声があります。

  公団の建替事業の実態が分かり、今までよりも多くの声々がよせられました。

【人質をとった交渉】

※「公団側の都合で決めた期日までに、一時使用賃貸借契約の捺印をしなければ優遇措置を奪う」というやりかたでは、人質をとって脅しながら交渉していると同じで、居住者と話し合って納得して捺印したことにはならない。もし、公団側が「反対しているのは、ごく一部の人で、大部分の方に賛同をいただいた」などといってきたら、それはうそで、そうゆうかたちにさせられただけであることを訴えたい。

またこんな法外な家賃を設定してくることは、始めから、大部分の居住者が戻れないことが分かっているのに、強行して、かわりに若い支払能力のある新しい入居者を募集して、収益をあげることだけが目的ではなかったかと疑われてもしかたがない。こういう住宅政策では、高齢化社会のため、福祉のためなどと言っても、口先だけで、事実は高齢者福祉も切り捨ててるにすぎない。

今後どんどん建替という名目で従来の居住者が追い出されていく団地が増えてゆくとき、金町団地でのことが、役にたつことを願う。

※一方的建替が、いかに人権を無視したものかは今更ことあげしない。高齢者優遇措置とは、高家賃を押し付ける為の「羊頭狗肉」のあくどいやり口だ。いくら傾斜家賃とはいえ、X年後には高家賃となり、収入の道が年金のみの高齢者には支払い不能の措置である事は明らかである。私たちが新契約に捺印し、引っ越しをしたのは全く意に沿わぬものであり「公団」という権力を背景にした「おどし」に屈服した引っ越しであり、いわば、泣き泣きの引っ越しだった事を敢えて書き加えます。

【捺印は納得したわけではありません!】

※10月2日に判を押しました。まだ頑張っている人には申し訳ないと思いましたが、いろいろと考えた末に決めたことでした。納得したわけではない事、仕方なく押すんだという事を公団の人に言いましたが、「それはよいことです」というその顔は終始ニコニコしていました。なにか公団のいいなりになるようで悔しいと思いましたが、石橋さんや伊藤さん(公団の担当者)が来ても、思っている事を十分に言えず、自分にイライラしたり、(印を)押そうか押すまいかと毎日悩んでいた日から解放されてホッとしたのも事実です。

それぞれの家庭でそれぞれの理由があり、その家庭の一番いい方法をとるのが最良と思います。長い間この金町団地に住んできて、どうしてこんな気持ちにならなくちゃいけないのか、絶対にこれはおかしい。住んでいる人の気持ちを何もわかっていない公団に腹がたちますが、あとは傾斜家賃が金町第二団地のように途中で止まるのを望んでいます。

※この度の移転ですっかり疲れてしまいました。又本移転するかと思うと先が思いやられます。建替がなければ、このままここに住みたかったのにとの思いで一杯です。戻り家賃が高すぎるので、私は都営住宅を希望しました。公団に捺印をしましたが、公団に居るかぎり建替対策運動を続けていきたいと思います。

※金町団地の特徴は、緑が多く各戸に庭があることです。この特徴をいつまでも守っていく事が、居住者と公団の義務だと感じています。居住者の生活は、居住者自身が決定するものであって、公団の一方的な建替によって居住者の生活が変えられてしまうのは大変おかしな事です。現居住者は戻り入居の際、何の心配もなく入居できるまで、公団と交渉するべきだと思っています。

【公団が法律?】

※長男が小学1年生の時、金町小学校から原田小学校へ転校し、金町団地へ引っ越して来ました。我が家は、金町駅南口に貸しているマンションがあり、本移転はそちらへと考えていましたが、9月30日を越えた10月2日にマンションの借り主が契約を更新したため、当座の引っ越し先もなく、未締結のまま今日に至りました。金町団地に住み続けた約9年間はハード面での古さはあるものの、環境としては申し分なく、子供らも多くの友達をつくり充実したものであったと思います。ところが住都公団の建替は、居住者のあらゆる生活体系をくずしてしまいました。説明会を皮切りに、公団分室の居住者への対応は、まったく公的機関の対応とは認めがたいものである。

 そんな居住者を無視した建替が認められるとしたら、日本の国で人殺しも含め、何をしてもまかり通ることになってしまうのではないか・・・・。

 又先工区の発表時の公団分室の対応は、全く認められない。

 話し合いも拒否し、やり方も一方的で「決まりました・・・」では、まるで公団が、そして公団分室の所長が、公団職員が法律であり、時として神となってしまう。そんなことが今の世の中でまかり通るのでしょうか。

※公団の一方的な、押し付けによる、建替に名を借りた追い出しには、絶対に賛成できません。

 公団が住民の生活を考えていないことが判った現在、居住者としては徹底的に公団と戦うことになるのは、やむを得ない選択だと思います。この2年間、一言も住民の意見を聞かず、ただ単に「自分たちが決めたことに従え。従わない者は出てゆけ」と言う、公団の態度は許されません。

※基本的に戻り家賃が高すぎる。民間と変わらないのであれば、公団の存在意義はどこにあるのか?民間企業は、小生の所も含めて、今リストラで大変な状況にある。賃金カット、休日出勤もサービス残業の内などそれぞれ厳しい体制で臨んでいる。しかし、公団にとっては社会状況は全く無縁の話なのでしょう。ポスト・バブルの今も、やっている事は(戻り高家賃など)バブル期の発想そのままである。捺印しないできた気持ちが、団地自治会の方針変更で宙に浮いた感じです。二三日でスッキリ変えるには短い期間でした。とにかく色々な意味で納得が行きません。

※一番許せないのが、公団の態度です。何故もっと住民の話を聞こうとしないのか?よく話し合った結果、納得がゆけば、例え高家賃となっても、住めなくなっても、いたしかたのないことだと思います。公団の提出した程の経済力のないことが人間として少しも恥ずかしくないことと思っていますが、話し合わない一方的高態度の公団が示した優遇と言うエサにしっぽをふってしまうのは出来ないことです。

※非常に不可解なことは、一般民間では通用しない借家法違反の、一時使用賃貸借契約に、建設省の外部団体である住都公団が、住民に対して同意・捺印を強要しているという事実です。捺印しなければ、優遇措置(最低の不備な給付義務)を打ち切るという二重三重の住民に対するゴマカシをしていますし、恩きせがましい事です。

 家賃に至ってはバブル時代の都心の家賃を東京の東の果ての金町団地で発表していますし、同じ葛飾区にある青戸団地との家賃の差も数万円もあり、納得できるものではない。公団設立の目的は「住宅困窮の国民に対して、安い良質な住宅を提供する」という大目的があったのですから、そういう目的が少しは感じられるものでなければならないし、公団の所有であれば都営住宅に準ずるものでなければならないと思います。

※今回の建替について下記の理由により、大きな不満があります。

    1.住民の意見が無視されている。

    2.説明会以降、全く公団の手順通り行い、住民に対する誠意がない。

    3.戻り家賃が高過ぎて、建替でなく追い出しである。

    4.建替後の間取り図を見て、今より良くなるものはない。

【話し合いが無い公団】

※何事も誠意で話し合い、一つ一つ妥協点を求めるようにすべきである。

 建替計画発表の前に時間をかけて、現居住者、周辺住民と話し合い、意見・要望に基づく計画を作成、建替説明会を開催すべきである。

※申し訳ありませんが、当方の家庭の事情で世帯分離もしました。ただ公団の一方的な言葉にまどわされたのでは無く、公団係員と数回に亘る談合(協議?)に依り当方で納得した事が多分になったので、契約締結・戻り入居という線に至りました。ただ現在次男の職業収入、小生の厚生年金並びに妻の国民年金等の収入合計等を加味し、家庭内で話し合った結果が戻り入居という線になりました。

※「建替」そのものが公団と我々居住者だけの問題ではなく、国としての住宅政策、そして公団を通して居住者を追い出そうとするとしか考えられない「建替事業」を、根本から考え直してほしいと要望します。


  

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